●吉川選
選考基準:
「『多くの人に展示機会を、多くの人に観る機会を』と思ってボックス展を主催している。発表し、見て貰うことに意義を持っていただきたい企画であるという立場から、作品のジャンルやクオリティではなく、『いかにボックスという空間をインスタレーションするか』という視点で審査した。」
・川口エリー 1票
パズルのように作品を自分の好きなように組み合わせて遊ぶことができる、体験型展示。お客さんが触ることで作品が完成するというアプローチが今までに無かった。
・Ray 1票
イラストレーションと丸窓。平面作品を立体空間で表現する弱点を克服することに成功している。もう一人同じコンセプトで作っている方がいたけど、電飾の不具合などもあってRayさんを選んだ。
・美少女 3票
ボックスを2つ借りている方は他にも何人かいるが、作品の分量ではなく、見せ方として使う手法が斬新で、それを高く評価した。ボックスという空間を構成するうえで立体造形の作家が優位にあるが、その中で群を抜いて空間を掌握できている。
●今野選
「商業的な目ではなく、『好き』な感覚で選んだ。
今、興味のあるものに惹かれて本を作ったりしてきた。
今は、作品と作家の間での『身体性の遊離』に惹かれている。」
・ひろすけ 1票
自分にない世界観。独特の表現。
(吉川「ひろすけさん、描いてる少年にそっくりなんですよ。」)
・Erotic Dragon 1票
装丁ってことで座布団1枚。
・白翠皇夜 1票
蔵書票ってことでこれもそれだけで座布団1枚。
本のセレクトでの表現。幻想の本は最近廃れ気味。
・ヒキムスビ 1票
乾いた剥製好き。ああいう本を出してるけど、実は生ものは苦手。血が流れてるのとかアウト。
・PP★★★CRYSTAL 6票
今までに見たことないもの。
身体性のずれと「ずれずに残ってるもの」がある。ここからどう更に崩れるのか見てみたい。
「人形はこの5年でたくさん見たのでどうしてもファーストインパクトを求めてしまう。
人形を避けたわけではない。全体に『どれだけ印象があったか』で投票した。」
(「美少女さんは出してちゃ駄目だよ、点入れられないもん。」(ってあとで個人的に聞きに行ったとき云われました。))
●富崎選
「作家さんによって見方を変えて票を入れた。」
・Erotic Dragon 1票
ぱっと見で。作品にするのか商品にするのか未分化。家にあると素敵だなと思った。
2箱出してた内では茶革の質感もいいけど、白黒の方の白革装丁が好き。
(今野「白いのかっこいいよね。」 富崎「うん、かっこいい。」)
・Ray 1票
普通にかわいいイラスト。
箱と窓、めんどくさいことしてる。前に自分でやろうと思って細工したことがあるけどめんどくさかった。
絵に絵以外で手を加えて作り上げている。
・かえと 1票
刺繍。志向が好き。
・葵瑠璃 1票
写真のパネル加工、吊りの粗さは直すべきかなと。
紐・キャンディというモチーフ、好きな感じ。撮影の視線がかわいい。
・ひろすけ 1票
巧い。モチーフの面白さ。男性にしては女性っぽい。
・川口エリー 1票
パズルの加工、一旦描いてから切り抜くとかめんどくさい。
触れられるのは楽しい、商品化してほしい。
・美少女 1票
2箱あったけど下の箱に投票。最初美少女さんの作品だと気付かなかった。
上の箱の人形の胴体と敢えて切り離して足だけにした構成。
人形作家なのに人形の表現から離れている。
・PP★★★CRYSTAL 2票
一般向けへの商品性。
作品として、商品として、人に紹介したくなる。
・番外 OMEGAコラボ商品(丸岡和吾、ロサルガ)
作品の高い技術力と商品性と云う魅力。
●鈴木選
・某 1票
(※得票ご本人の要望により、論評内容を伏せます。)
・ひろすけ 1票
絵が巧く、線が生きている。漫画も描けそう。
少年の世界観。
・虫。 1票
ちょっと不気味、レトロチック。
インパクト大。不器用そう。
・パラノイドアンドロイド 1票
睫毛のインパクト。胸像の方も表情に透明感がある。
・邪独 1票
仮面と背後のペン画の執拗性。
仮面の眼窩の奥にペン画の渦が来て眼のように見せているという見せ方の工夫。
ちょっと宇宙のようなものを感じた。
・美少女 1票
上下の繋がり。下のボックスの思い切った使い方。
・涼彦 2票
少女人形と、グロテスクな芋虫?の人形。
頭の欠けた芋虫に少女の人形が手を伸ばしていて、それぞれ単体ではなく繋がっている。
グロとかわいらしさの融合。
・福山翔太 2票
釣崎さんの写真(死化粧師オロスコの写真か。)の隣りに展示してあったのもあって、そちらの写真から飛び出してきたかのように見えた。内臓のような、ペニスのような。
「どんなに狂ったやつが作ってるんだろう」と思ったが、箱前の連絡先に添えてあるテキスト(「なんやかんやでファミ通を買う」「たこ焼きは口の中のテロリズム」)のかわいさとのギャップが面白かった。
(吉川「彼は大阪の人で、路上でいきなり血反吐を吐いたりするパフォーマンスをしてるみたいです」
鈴木「へぇ、やばいな(笑)」)
■総評
今野
「箱の向こう側を感じさせる構成を見せてもらえれば10票全部入れるかも。箱から溢れさせろ。
それができないなら作品自体の力を上げてほしい。全体に小粒っぽい。
もっと、もっと。」
富崎
「人のアドバイスを素直に聞くやつはそれ以上にはなれない‥かも。
四谷シモンさんにも同じようなことを云われたけど、若い時はどんどんやるべき。
独学の方が新しいものを作れる気がする。」
鈴木
「作りたいものがあるなら止めずに作り続けて行けるか、それを含めて才能。
食べて行けるかどうかとかは見る側からしてみたら知ったこっちゃない。
小さい中での見せ方、作り方はあると思うが、大きい空間・大きい作品で観たい作家もいた。」
と云う訳で、ぼくは5票投票いただき得票2位となりました。
今後も一層励みますー。
ぁ、そんでもって9月にOMEGA ALGEAで個展を開くことが決まりました。
詳細は固まり次第お知らせしますのでお楽しみに。
大きい人形を中心に何体か作る予定です。