今回の展示は七夕に合わせて、中国の伝承からイメージを引っ張ってきました。
笹は下のスタッフさんが飾ってくれるさーとばかりに、日本ではあまり細かく知られていない牽牛織女の伝承を。
笹の葉さらさらのさの字もありませんでした。
中国の伝承では、カササギと云う鳥が翼を渡して天の川に年に一晩だけ橋を掛け、東西に隔てられた牽牛・織女の夫婦を繋ぐとされています。
展示タイトルの『天河掛鵲橋』は、この伝承が出典です。
アマノカワニカカルルカササギノハシ。
同じ音がころころと続いて、声に出してみると日本書紀の神様のような。
カササギは室町以前は日本にいなかったそうで、何でも秀吉の朝鮮出征の折に連れ帰ったものが土着したのだとか。
留鳥、渡りをしない鳥のため、現在国内では佐賀を中心に九州北部に生息するのみ。
七夕の伝承自体が伝わったのは奈良時代のことなので、日本にいなかったカササギの部分はカットされて世間に広まったようです。

展示会の話が来た翌日にスケッチを立てて、6畳一間を何とか見立てられそうな目処が付いて、さぁ買出し。
設計図に従ってTOAで布買って、ハンズで羽根買って。
その他もろもろ、3日ほどで買い揃えて制作に。
結局間に合わなくて5日にお休みもらいました。
仕事しながら1週間で準備は流石に辛かった‥。
上海乗風界水中心の展示は、基本的に風水をそこかしこに取り込んでます。
今回は前のデザインフェスタに比べて大幅に風水エッセンス増強。
部屋中風水まみれでした。
あと此間貰ったダチョウの卵も早速使いました。
転んでもただでは起きぬ。
あぁ、そう云えばブログでダチョウの卵顛末を書いてないなぁ。
内容量1リットルにはちょいと驚きました。
閑話休題。
狭い部屋の中をみつしりと見立てで埋め尽くして、中心にとりこを浮かべて。
このくらいの部屋全体を人形の中に注ぎ込むのが当面の目標。
注ぎ込めた暁には、広い空間に一体だけ展示、なんてのも。
今はまだ装置に頼らざるを得ないけど、けど。
風水と人形とを語っていくと、わたしはいつも境界線の話に辿り着いてしまいます。
あやふやなもの、境目にいるものが好きなのです。
人間は選択肢を2つ用意されると、無意識の内に必ずどちらかを選ぶ。
そのときそこに、境が発生します。
境はその時時によって移ろうもの。
それは決して、境界『線』などではあり得ない。
展示期間中増やし続けた天の川は、あやふやな境界の象徴。
増やせば増やすほど周辺はぼやける。
ここまでが天の川、と線を引くのは、見る者の意識。
第3者の系からの観測、シュレディンガの猫。
今回は『展示のしおり』と称してテクストを用意しました。
表現者は作品のみで全てを語るべき、と考えているわたしにしては、割と思い切った決断。
それが良かったのか悪かったのかの答えは、暫く先に出るように思います。
出ないかも。
今出せるものは惜しみなく出しました。
前回のデザフェスのときもそうしました。
もうアイデア出ないよ、と不安に思いつつ展示を終えて3日後辺り、不意にイメージの洪水が降りてきました。
12月のデザフェスVol.24に向けてそのイメージをスケッチしておいたものが、今回の展示の叩き台。
つまりまた放出しちゃったのです。
まぁ、吐くだけ吐き出したら勝手に吸い込むのでしょうから、澱みを抱えるよりはすっからかんになっちゃった方がよいのかな、などと。
倒れるときは前のめり。
若干楽観、お気楽極楽。
そんなスタンス。
さてさて、次はどんな天地を紡ごうか。
あの心地よいカタルシスのために、また日日を重ねると致しましょう。