初日は結局一睡もせずに会場入りして、先ずはいかぞーと中野に手伝ってもらって竹材でフレーム組み。
未明に切り揃えた様様な長さの竹。
最初にブースいっぱいいっぱいの1,800のものを組井桁に組んで、四隅を綿の金剛打紐でがっちりと結わえていく。
その正方形に15度ほど傾いて内接するように長さを整えた竹を、更に組み井桁で結わえ付ける。
約2時間かけて繰り返すこと20段分、捩じり上がりながら小さくなっていく正方形で出来た螺旋が完成。
真ん中の穴に2mの竹を4本束ねて挿し込み、枠に固定する。
人形や資材を入れてきたトランクを基部の空間に押し込み、聳え立った竹の塔に黒布を2方向から巻きつけて2重の螺旋を練り上げ、ブースの什器が完成。
中野といかぞーは自由時間。
わたしは一人で人形をディスプレイ。
11時開場。
人形の展示準備は完了してたものの、まだブースの風水を整えてなかったので羅盤片手に色テープで見立ての卦を敷く。
まぁこれもパフォーマンスの一環ということで。
東西南北中央に四神を相応させて、ブース完成は11:30と云ったところ。
今回の新作は告知どおり3体。
3体セットでのコードネームは『兆候』。
それぞれ、『不可観(ミエズ)』『不可云(イエズ)』『不可聴(キコエズ)』と云う名を与えてあります。
気をつけて搬入したんですが予想通り指が折れまくってました‥。
『荊画廊』で展示した三体変形合体(済)人形『巴』も、破損していた基部を修復して展示しました。
加えて、『ゆびなわ』、対人形『阿』『ロ云』、未だに仮称の『どてっぱら風穴子(仮)』と『クリスタル埋まり子(仮)』も展示して、全9体の展示構成でした。
‥初日までは。
mixiの日記を読まれた向きにはご存知のとおり、どてっぱら風穴子は2日目の朝には姿を消しておりました。
それについては思うところが並ならずあるので、また後ほど触れるとします。
設営終えてからはブースほったらかしでうろついてました。
4階の暗いブースで巨大カレーに潜り込んだときは、危うくそのまま寝落ちするところでした。
それにしても安らぐカレーだ。
初日の18:15より19:00まで、会場中央のショースペースにてパフォーマンスショーを行いました。
1ヶ月前に急遽やることになったのですが、十分な練習が出来なかったにも拘らず、ご覧下さった皆さんからは高く評価していただきました。
嬉しい反面、実は大きくとちっちゃってたので悔しい思いもあります。
中野の鳥仮面外し忘れた‥。
むむむー。
結果オーライ、なんでしょうけどね。
パフォーマンス用の楽曲はSOSUKEさんに選んでもらいました。
編曲は中野に頼んで、パフォーマンス自体の構成もかなりの部分を手伝ってもらいました。
前日から当日にかけては、とりかさんに買出しに行ってもらったり、いかぞーに急遽出演をお願いしたり。
半裸のいかぞーを見たあるお客さんは「夢に見そう、絶対見そう」と仰ってました。
ショーの動画も褥さんの協力で無事に撮れました。
ほんとにみんなに助けられっぱなし。
大感謝祭。
ショーは『人形と境界』を主題に取った構成。
中野のマイムを活かして、人形師であるわたしが人形に一時の生命を吹き込む、と云うイメージ立てでした。
ショースペースに集まる気を見立てにより引き摺り出しては人形に注ぎ込み、練り込み、人形を媒介として周囲に開放する。
道具立てはなるべく少なく。
場所の使い方はなるべく広く。
目指しては見たものの、やはりなかなかに難しかったです。
振りは基本的に一部を除いてはその場の雰囲気でデータベースから引っ張り出してました。
中盤とラストだけかな、ちゃんと付けてたのって。
ショー終了後、写真撮影兼インタヴューなぞ受けました。
受けてる間もりもり一般のお客さんが写真撮りに。
4階でもないのに囲み撮影。
あと褥さんがいかぞーに「あたしより乳が!」とお定まりなナニを繰り広げてました。
一応無事に初日が終了。
翌日使わないものは持って帰ろうとブース内の不用品やらを鞄に詰めて、人形の展示されたブースを黒布でぐるぐるとフレームごと巻いて。
残っててくれた面面と一緒に新宿へ。
中野・いかぞー・とりかさん・ゆきさん・ドリィさん・チョコぱへさん・そしてわたしの7人で焼肉ゴー。
ユッケ天国。
わたしは肉奴隷担当。
JOJOとゴールデンアックスで盛り上がったように思います。
帰りにパンダ小屋で軽く遊ぶ。
中野のペットショップがべらぼうに攻撃的で目を狙われてる気分を満喫。
2日目のメンバは基本的にわたし一人。
ショーのための衣装をauaa袋に詰めて、9時前に単身会場入り。
茉莉弥さんたちと練習したり衣装合わせしたりで、自分とこのブースに辿り着いたのは10時半手前。
さー今日もよろしくですよーと覆い布を取り去る。
中央に空間。
暫くあちこち探してみたものの、60cmの人形を隠すだけのスペースは見当たらず。
隣ブースの褥さん達は土曜は20:30辺りまで残ってたそうなので、そこから日曜朝までの間の出来事なのでしょう。
まさか連れて行かれるとは‥。
そんなに気に入られてしまったのか。
見える状態でなく、布で完全に隠された状態で猶も連れ去ったというならば、通りすがりの軽い気持ちではありますまい。
悔しさは微塵も湧かず、寧ろ嬉しさが立ち上る。
完成させた人形には執着を感じない、感じても限りなく薄い。
こうして人の目に晒している時点で、評価に関してはわたしの手を離れている。
唐突に訪れた状況の変化と発生した心境を周りに伝えたく、早速日記を更新。
等とやっている間に13時からのショーの時間が近付いてくる。
シヅカさんからシャドーを借りて控え室で着替え、茉莉弥さん制作のジャケットを身に着ける。
ショーでのわたしの役割は、茉莉弥さん扮する薔薇の乙女が納められた棺桶を曳いて出てくる死神の片割れ。
ただ歩いてると手持ち無沙汰なのでてきとーに手に表情をつけてみたり。
ちょい役だったのでそうして中盤にちょろっと出て引っ込んだ後は、カーテンコールまで出番無し。
絶対運命黙示録のインストに合わせて歌詞を口ずさんだりしてました。
カーテンコール、下がり際とちった。
何このとちり属性。
ショー後の撮影大会を終えて、折角なので西1の方をそのままの格好でうろうろ。
普段着より少し派手。
着替えて人形師に戻ってうろうろしつつ、いなくなった風穴子(仮)に想いを馳せる。
近くのブースで出展の人形作家・サカモトさんに話したところ、慧眼の一言をいただく。
「その人はきっと、人形に罪を籠めたかったんだよ。」
わたしの中で静かに過冷却されていた形容不能な対象は、その言葉で一気に収斂し、結晶化した。
連れ去った当人は、あの人形を見るたびに自分の罪を思い出す。
また、そうまでしたものを余人に手渡すとも考えにくい。
つまり、打ち壊し捨て去ってしまうまで、人形と罪を抱き合わせて所有するのだ。
捨て去って後は、罪のみを持ち続ける。
何というドラマチックな所有の形だ。
失うこと自体を所有するなんて。
そこまでして所有する対象に選ばれた。
選ばれたのは、わたしが作った、あのわたしだ。
わたしではない、わたしの一部であり、どのわたしでもないわたし。
勿論。
窃盗それ自体は、日本と云う共同体で生きる以上は赦すべからざる罪状です。
刑法235条。
そこを無視しているわけではありません。
そこを赦しているわけではありません。
しかしながら、風穴子がいなくなった現状を甘受しているわたしもまた、嘘ではないのです。
そこまで完璧に所有されたのなら、あの人形はその人物を主とするでしょう。
でも、もう駄目です、わたしの人形を盗ることで完璧な罪を負えたのは、今回の人物のみです。
わたしがその所有の形を認めてしまったのを知れば、今回の人物すら所有の完全性を失います。
あぁ残念。
なんと勿体無い。
願わくば彼の人が、墓場まで人形と罪を抱いてくれますように。
決してわたしを知ることなく、わたしを所有してくださいますように。
賛否両論あろう形ですっきりした後は、例によって滑るように動きながらあちこちうろうろしておりました。
たまたま寄ったブースで「前からあの人何なんだろうって思って眺めてましたー」と告白を受けてみたり。
マネキンパフォしてるダースモールみたいな人を見つけてマネキン対決してみたり。
ガラス帷子やギミック銀細工にときめいたり、シヅカさんの物販を突発的に手伝ったり。
19時過ぎ、閉会。
電源供給が止まったのを合図に撤収開始。
ぢるさんにスピーカ他のコード処理をお願いして、撤収完了までおおよそ30分。
例によってフレームは丸まる捨ててきました。
折角綺麗なラインだったので、捨てる前に何枚か撮影。
一緒に帰る予定の茉莉弥さんのブースに移動して、ぢるさんは翁次郎さんのブース撤収をサポートに。
灰架さん・シヅカさん・わたしと、発送から戻ってきた茉莉弥さんの4人でTFT方面にご飯食べに。
パスタつつきながら赤ワインごくごく。
おいしいー。
帰り際に池袋で軽くだだんぼ踏んで、家に着いてシャワー浴びて。
荷物も解かずにそのままばたんきぅでした。
流石に盛り沢山過ぎました、今回のデザフェスは。
一先ず今宵はここらで筆を擱こうと思います
観に来てくださった方がた・応援してくださった方がた、そして手伝ってくれた仲間達には今一度の、胸いっぱいの感謝を。