制作に感けること数週、今月頭からはほぼ毎日進めているものの進捗未だ芳しからず。
展示の場は次の土日、間に合うものかは誰知らず神知らず、我のみぞ知る。
ふつと思い詰めた得体の知れない衝動が、胸を衝き、咽喉を駆け、口腔で暫し渦を巻いて頭頂へと至る。
黒い龍。
黒ですらないのかも知れない。
闇の帳を今一幕下ろす闇、そこに住まう形状確かならざる太古の龍だ。
それが、闇から闇を渡り、脳髄へと一気呵成に踊り込み、暴れる。
堪らず仰け反り、畳へ背を預け、絶叫する。
声は出ない。
こめかみに圧力を感じる、内圧。
弾けそうな一瞬に、強く閉じ縛った瞼の奥から闇の瞬きを見る。
ヂヂヂ、と側頭葉が軋みを上げる。
絶叫する。
絶叫する。
絶叫する。
肺の空気が須らく外へ追い出される。
熱い唾を、ごくりと呑み込む。
溜息と共に漸く声が漏れる。
声と云うには余りにも力なくか細い。
冷えていた指先に血流を感じる。
強張った筋を、指を組んで伸ばす。
さて、まだ宵の口。
もう一作業、もう一息、それで、
お前を流し込んでやれる。
この白い土塊に。